2011-06-01から1ヶ月間の記事一覧

Virtual Substitution

CAD の話が続きましたので,今回は QE のもう一つの基本,Virtual Substitution of Parametric Test Points をお話しましょう. 随分と長い名前というか,説明そのものですが,直訳なら「変数を含む試験点の仮想的代入」といった所でしょうか? まぁ呼び方は…

CAD in Mathematica

今回は,Mathematica の CAD 関数についてのお話ですが,まずは用語の確認から,...,R^{n+1}(n≧1)の部分集合 X が Cylindrical であるとは,R^n の部分集合 Y と Y 上で定義された無限大を含めた実数値関数 f,g が存在して X={(x_1,...,x_n,x_{n+1}) ; (…

Maple の動向(その3)

Maple 10 で登場した ChainTools パッケージに, Maple 14 で追加されたサブパッケージ SemiAlgebraicSetTools の目玉が,以前出力をご覧頂いた CylindricalAlgebraicDecompose です. この関数は,全空間を与えられた有限個の多項式関数の符号を変えない部…

DISCOVERER

前回紹介した RealRootClassification および RegularChains[ParametricSystemTools][BorderPolynomial], RegularChains[ParametricSystemTools][DiscriminantSequence], RegularChains[SemiAlgebraicSetTools][RealRootIsolate] with method='Discoverer' …

Maple の動向(その2)

Maple 13 において,RegularChains のサブパッケージ ParametricSystemTools に加わった RealRootClassification 関数 (RegularChains[ParametricSystemTools] - Maple Programming Help)は,その名の通り,多項式で表された不等式制約を許す連立方程式の…

Maple の動向(その1)

まず,RootFinding は,Isolate 関数のような方程式の数値解計算を主としたパッケージですが,Maple 12 で追加されたサブパッケージ Parametric は,不等式制約を許す連立方程式の open CAD(パラメータ=自由変数空間の開集合による分解 http://www.sigsam.…

maxima で QE(その1) 決定問題と最適化問題

今回は,CAD は一回お休みして,いきなり始まった「 maxima で QE 」シリーズの1をお送りします. 以下では,∀x P(x) や ∃x P(x) (x∈R^N) のような量化子の種類が 1 で,しかも,自由変数を含まない論理式(閉論理式)を扱います. 閉論理式の真偽を判定す…

QE by full CAD

まず,前回の a 空間への射影 { a+3, a, a-1 } の各多項式の零点 -3,0,1 を境界として,実数全体 R を (-∞,-3)∪{-3}∪(-3,0)∪{0}∪(0,1)∪{1}∪(1,+∞) のように,7 個の部分集合に分解し,各部分集合,その式,その要素の一つ(sample point)を組にしたものを,…

Projection Phase

これまでの考察により F(a,x) が a(∈R^n),x(∈R) についての実係数多項式 f_j(a,x) (j=1,...,M) を左辺,0 を右辺とする方程式や不等式を ∧ や ∨ で結合した論理式のとき ∃x F(a,x) や ∃x F(a,x) を満たす a 全体の集合を a についての実係数多項式 g_i(a) (i…

係数で QE

解集合の境界を含む可能性のあるものとして (1)もとの曲面達の共通部分の正射影 (2)もとの曲面の,正射影が含まれる空間に垂直な接平面の接点,および,特異点の正射影 があることを見ましたが,次の例ではどうでしょう? ∃x ( 1≦x ∧ ax=1 ) QE 自体は…

∇ で QE

前々回の例では,解集合の境界 {-3,1} は,直線と放物線の共通部分の y 軸への正射影 {-3,0,1} に含まれていましたが,例えば ∃x ( x≦a ∧ x^2-4x+a≦0 ) はどうでしょう? QE は,直線 y=a と集合 x≦y ∧ x^2-4x+y≦0 との交わりが空でない(つまり,点を共有す…

終結式で QE

前回の QE では,直線と放物線との共有点の y 軸への正射影を求めるため,実際に連立方程式を解きましたが,例えば のように次数が上がると,その実行は難しくなります.また のように変数の種類が増すと,n 次元空間の曲面どうしの共通部分は曲線または点(…

simplest CAD

前回は解集合の図のみを正射影で求めるグラフィカルな QE でしたが,関数の種類,変数の個数が手頃であれば,同様の方法により,シンボリックに QE できます. 例えば (1) ∃x ( a≦x≦a+2 ∧ x^2-2 x+a≦0 ) を考えましょう.人間なら a について場合を分ける所…

正射影で QE

前回,前々回のような解集合の図は,束縛・自由変数が合わせて 3 種類以下なら,与えられた論理式から簡単に求められます. 例えば,自由変数が 2 種類,束縛変数が 1 種類の特称量化論理式 を満たす点 とは,その点を通って 平面に垂直な直線上に を満たす…

包絡線で QE

前回の図を見ると,この解集合の境界は,どうやら2本の線分と謎の曲線とで構成されているようです. 線分については に対する の一部と推定できますが,いい感じに曲がった部分を見て,何とかそれを表す「式」を得られないかと思うのは自然な反応でしょう. …

一般の場合

今回は,凸,1 次式という条件を全て外し を満たす点 の集合(解集合) を についての連立 1 次不等式の表す集合(半代数集合)で内側から近似します(外側からは,前回と同じく, のサンプルを代入したものの連言を用います).ここで, は の連結部分集合…

凸関数の場合

今回も ∀x ( x∈X → f(x)≧ax+b ) を満たす実数a,bの集合(解集合)を内と外から近似します. ただ,予告した下限,上限による適用範囲の広い評価の前に,特殊ではあるが精度の高い凸関数の 1 次式による近似を述べておきたいと思います. まず,外からの近似…

素朴な方法

前回のような超越関数を含む論理式を QE する方法として,すぐ思いつくのは近似です. ここで言う近似とは,一般に述語論理の論理式は自由変数についての条件ですから,それを満たす点の集合をその部分集合(サブセット)と拡大集合(スーパーセット)で評価…

QE で超越

これまで幾度か述べたように現在の QE で扱える関数は原理上,代数関数(多項式を用いて定義できるもの)なのですが,驚くべきことに Mathematica は Reduce[ Exists[x,Sin[2*x]-Sin[x]==a],Reals ] Reduce[ ForAll[x,Exp[2*x]-Exp[x]>=a],Reals ] などの処…

Numeric から Symbolic へ

処理が重いなら WorkingPrecision オプションを Infinity から有限に変更する手もありますが,それは Mathematica 固有の解決策なので,ここでは一般的な方法を採ります.すなわち Numeric に推定して,Symbolic に証明する という道です. 具体的には g[r_]…