奇妙な含意

今回は,古典一階の論理式

$\exists x\left(p(x)\to q\right)\land\exists x\left(q\to p(x)\right)\to\exists x\left(\left(p(x)\to q\right)\land\left(q\to p(x)\right)\right)$

は定理式か?と云うお話です.

量化だけを見ると,前件の $2$ つの $x$ は同じとは限らないので,後件のようにはまとめられず,定理式ではなさそうですが,量化されているのは含意とその逆,しかも,$q$ は $x$ の出現をもたないという辺り...かなり訴えています.

まず,後件内の含意の連言を,定理式

$\left(A\land B\right)\lor\left(\neg{A}\land\neg{B}\right)\to\left(A\to B\right)\land\left(B\to A\right)$

により,存在量化が分配できる選言に繰り上げます.つまり,後件は

$\exists x\left(p(x)\land q\right)\lor\exists x\left(\neg{p(x)}\land\neg{q}\right)$

で十分であり,これは定理式 $q\lor\neg{q}$ による場合分けが使える形で,前件のうち,$q$ に対しては $\exists x\left(q\to p(x)\right)$,$\neg{q}$ に対しては $\exists x\left(p(x)\to q\right)$ を用いれば得られます.