Projection Phase

 これまでの考察により

 F(a,x) が a(∈R^n),x(∈R) についての実係数多項式 f_j(a,x) (j=1,...,M) を左辺,0 を右辺とする方程式や不等式を ∧ や ∨ で結合した論理式のとき
 ∃x F(a,x) や ∃x F(a,x)
を満たす a 全体の集合を a についての実係数多項式 g_i(a) (i=1,...,N) を左辺,0 を右辺とする方程式や不等式を ∧ や ∨ で結合した論理式で表す際の g_i の候補には,各 f_j(a,x) を束縛変数 x についての多項式と見たとき
(0)自由変数のみを含むもの
(1)自由変数を含む,主係数とそれに続く係数
(2)異なる多項式の定数でない終結
(3)見かけの次数が 2 以上の多項式の定数でない判別式
がある

ことが判りました.
 以下では,一般に多項式の空でない有限集合 A に対して,A に属する各多項式の既約因数から(0),(1),(2),(3)のいずれかとして得られる多項式の既約因数全体の集合を A の自由変数空間への射影,あるいは,A の束縛変数方向の射影と呼ぶことにします.例えば,
{ x-a, x-a+2, x^2-2*x+a }
に対して,(0),(1)はなく,(2)は
\|\array{1&-a\\1&-a+2}\|=2
\|\array{1&-a&0\\0&1&-a\\1&-2&a}\|=a^2-a=a(a-1)
\|\array{1&-a+2&0\\0&1&-a+2\\1&-2&a}\|=a^2+3a=a(a+3)
(3)は,(x^2-2*x+a)'=2(x-1) により
\|\array{1&-2&a\\1&-1&0\\0&1&-1}\|=a-1
なので,a 空間への射影は
{ a+3, a, a-1 }
です.
 (0)〜(3)以外の候補については,ひとまず保留し,次回,これらを用いた QE を一般にも通用する形でお話したいと思います.
 なお,RedLog には,この処理のための関数 rlcadproj があり

rlcadproj ( a

と入力すれば

{ {a + x**2 - 2*x, - a + x - 2, - a + x},
{a,a - 1,a + 3} }

と答えてくれます.